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旧碓氷郡役所
太政官布告第十七号、「郡区編成法」により明治11年12月碓氷郡役所が開庁しました。当時70ヶ町村(人口約4万人)を統轄した郡役所は伝馬町の旧本陣須藤国平氏宅を仮用していましたが、明治21年6月30日、現在地約500坪に白壁の壮大華麗な新庁舎を落成しました。
しかし、不幸なことに明治43年9月20日夜原因不明の出火により全焼、書類もことごとく烏有に帰してしまいました。そこで新たに工を起し、同所に明治44年9月20日新郡役所を竣工しました。
これが現存する碓氷郡役所であります。この時の棟梁は安中町谷津の柴田平吉、間口17間奥行5間、建坪85坪には安中の杉並木10本が切られて用材として用いられました。その時の開庁式の様子を上毛新聞は「碓氷郡役所開庁式、名士雲の如く集る、安中町空前の盛観」とその盛況ぶりを伝えています。
来賓の主な方々は、群馬県知事神山閏次氏をはじめ、県土木課長、郡会議員、町村長、小学校長、各新聞社社長などでありました。町中に国旗や提灯を掲げ、碓氷川原では花火もあげました。
式の後来賓たちは旧安中校の敷地内で催された青年相撲大会を見物し、さらに安中座での宴会に臨みました。夜になると安中町は西毛水電会社の寄贈したイルミネーションが点じられ一層の美観を呈したということです。
大正15年7月1日碓氷郡役所は廃止となり、建物は碓氷郡農業会が使用、昭和17年に碓氷地方事務所が開設使用、昭和32年事務所廃止後は安中農政事務所が開設使用(安中農業改良普及事務所、高崎財務事務所、教育事務所も同居)、しかし昭和48年までにはすべてが移転し空家となっていましたが、同49年群馬県が土地家屋を安中市へ贈与されました。同56年3月一部贈与契約書を変更し以後倉庫として使用し今日に至っています。
県内各地の郡役所の建物も次々と取り壊され、現在残っているのは碓氷郡役所の建物だけとなっています。地方自治の歴史を示す貴重な建物であるため、平成8年度から地域文化財保全事業により、建物の改修を行い後生のため保全することを目的に事業を進め、平成10年2月1日より公開されています。
ご案内
所在地 | 安中市安中三丁目21番51号 |
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開館時間 | 午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで) ※冬期(12月〜2月)午前9時〜午後4時30分(入館は午後4時まで) |
休館日 | 月曜休館(月曜が祝日の場合はその翌平日) 年末年始休館 |
入館料 | 無料 |
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